消火器の設置基準:
必要な建物と本数の決め方

2026年10月 確認てんけんどこ編集部

消火器が必要かどうかは、建物の用途と延べ面積で決まります。飲食店や病院、劇場などは面積に関係なく必要で、物販店やホテルは150㎡以上、事務所や学校は300㎡以上で必要です。本数は「能力単位」の合計と、どこからでも歩いて20m以内に届くことの2つで決めます。消防法施行令第10条と消防法施行規則をもとにまとめました。

消火器の設置義務がある建物(用途と延べ面積)

消防法では、建物を用途ごとに消防法施行令 別表第一の「項」に分けています。消火器の設置が必要な建物は、この項と延べ面積の組み合わせで決まります。項の意味は特定防火対象物とはでも一覧にしています。

条件当たる用途(別表第一の項)
延べ面積に関係なく必要(1)項イ 劇場・映画館など、(2)項 キャバレー・遊技場・カラオケボックスなど、(3)項 料理店・飲食店で火を使う設備や器具があるもの、(6)項イ(1)〜(3) 病院・入院施設のある診療所・入所施設のある助産所、(6)項ロ 避難が難しい人が入所する社会福祉施設、(16の2)項 地下街、(16の3)項 準地下街、(17)項 重要文化財などの建造物、(20)項 舟車
延べ面積150㎡以上で必要(1)項ロ 公会堂・集会場、(3)項 料理店・飲食店(上に当たらないもの)、(4)項 物品販売店・百貨店・展示場、(5)項 ホテル・旅館、共同住宅・寄宿舎、(6)項イ(4) 入院施設のない診療所・入所施設のない助産所、(6)項ハ 老人デイサービスセンター・保育所など、(6)項ニ 幼稚園・特別支援学校、(9)項 公衆浴場、(12)項 工場・作業場・スタジオ、(13)項 車庫・駐車場・格納庫、(14)項 倉庫
延べ面積300㎡以上で必要(7)項 学校、(8)項 図書館・博物館・美術館、(10)項 駅などの停車場、(11)項 神社・寺院・教会、(15)項 事務所などほかの事業場
用途・面積に関係なく必要少量危険物や指定可燃物を貯蔵したり取り扱ったりする建物
階の床面積50㎡以上で必要上のどれにも当たらない建物の、地階・無窓階・3階以上の階

出典:e-Gov法令検索「消防法施行令」第9条・第10条・別表第一、仙台市消防局「消防法施行令別表第1」(PDF)、札幌市「防火対象物の用途」、日本消火器工業会「消火器の設置義務」(いずれも2026年9月28日確認)。用途の書き方は、てんけんどこ編集部が短くまとめたものです。

飲食店は火を使うと面積に関係なく設置義務

2016年12月の新潟県糸魚川市の大規模火災をきっかけに、消防法施行令が改正されました。2019年10月1日から、こんろなど火を使う設備や器具を置いている飲食店は、延べ面積に関係なく消火器が必要です。それまでは、延べ面積150㎡以上の飲食店だけが対象でした。火を使う設備や器具がない飲食店は、今も延べ面積150㎡以上で必要です。

出典:横浜市「飲食店を営業されている皆様へ」、日本消火器工業会「飲食店の消火器具設置/点検の義務化」、同「購入・設置前のご質問」、e-Gov法令検索「消防法施行規則」第5条の4(いずれも2026年9月28日確認)。

本数の決め方:能力単位と歩行距離20m

能力単位は、消火器がどれだけの火を消せるかを表す数字です。業務用消火器には、適応する火災の絵表示とあわせて書かれています。たとえば高性能型の10型では「A-3、B-12、C」のように表示されます。本数は、次の2つをどちらも満たすように決めます。

  1. 能力単位の合計:建物の延べ面積(または床面積)を、下の表の算定基準面積で割った数以上にします。
  2. 歩行距離20m以下:階ごとに、建物のどの場所からも、歩いて20m以下で消火器に届くように置きます。大型消火器は30m以下です。
用途(別表第一の項)算定基準面積耐火構造で内装が難燃材料の場合
(1)項イ、(2)項、(16の2)項、(16の3)項、(17)項50㎡100㎡
(1)項ロ、(3)項〜(6)項、(9)項、(12)項〜(14)項100㎡200㎡
(7)項、(8)項、(10)項、(11)項、(15)項200㎡400㎡

たとえば、延べ面積180㎡の飲食店((3)項)で、耐火構造などの条件に当たらない場合は、180÷100=1.8です。能力単位の合計が1.8以上になるように置きます。そのうえで、店内のどこからでも20m以内に届くかを確かめ、届かなければ本数を増やします。

このほか、次の場所では上の分に加えて置きます。

屋内消火栓やスプリンクラーを基準どおりに設けた場合は、その設備が届く範囲について、必要な能力単位を3分の1まで減らせます。ただし、11階以上の部分には使えません。

出典:e-Gov法令検索「消防法施行規則」第6条・第8条、日本消火器工業会「消火器の設置義務」、同「消火器の選び方」、東京消防庁「高性能型消火器を知っていますか?」(いずれも2026年9月28日確認)。計算の例は、てんけんどこ編集部が施行規則の算定方法にあてはめたものです。実際の本数は、点検会社か所轄の消防署で確かめてください。

置き方:高さ1.5m以下と「消火器」の標識

本数のほか、置き方にも決まりがあります。

置いた後の点検や、製造から10年を目安にした交換、古い消火器の処分は業務用消火器の点検・交換・処分にまとめています。

出典:e-Gov法令検索「消防法施行令」第10条第2項、同「消防法施行規則」第9条、日本消火器工業会「消火器の設置義務」(いずれも2026年9月28日確認)。